2011年09月09日

「商店街」から時代を読む

秋に近づき、少し涼しくなってきましたが
まだまだ残暑が続きますね。

今日は、インターネットでみつけた資料から
私が特に重要だと思った文章を抜粋して掲載し
これからの「商店街」の役割について考えてみます。

資料はこちらからダウンロードできます。
「地域消費者・生活者が求める商店街活性化策に関する調査研究」
http://www.jsbri.or.jp

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(1)時代環境の変化と小売業
 90年代に入って日本経済は長期的な不況に直面している。マクロ経済政策の誤り中成長から低成長への成長路線の下方屈折の影響。銀行の不良債権問題の実態経済への影響などの国内問題と、グローバリゼーションにより日本の企業システムや、マクロ経済の全体が問い直されているという国際的な競争要因がその原因と指摘するエコノミストも多い。
経済的分析では種々要因もあるようだが、ここは小売業が受けている環境条件の変化について理解しやすい人類文明の転換論に従って論を進めることとする。企業利益の源泉が知価創造的な産業へとシフトしたことが人間の作る組織や社会の変化をもたらし、それが小売業へのインパクトとなって多様な問題を提起し、生き残りのための対策を求められる現代の要因となっている。

(2)顧客社会の到来と業界国際化等の変動
 モノがあり余る時代と情報化の進んだ社会を迎えて、画一的、同調的大衆消費者が消え失せ、一人一人が自律した生活シナリオと価値観のもとで分別と責任のある自分の暮らしを慈しみ、育むために、モノより心を大切にし、自分の暮らしや文化に適合するモノ以外には見向きもしない生活者へと変貌したため、市場は売手市場から買手市場へと変わり、なにもかも生活者主導の経済社会となった。
 並列的な成長から環境変化適応力によって成長が左右される下克上の時代を迎えている。

(3)社会環境の変化ー小売業衰退要因
・マスから個への転換 
 物質不足時代から潤沢にゆきわたる成熟社会を迎えるにつれ、消費者は物量的満足により、自分の感性や才能を発揮できる生活の場を求める主観的満足を求めるようになった。自分の暮らしを自分流に営んでゆきたいという自我に目覚めた「生活者」への変貌である。
 心豊かでゆとりある生活が物質的豊かさより優先される時代となったのであり、モノより心の時代でもある。そこでは画一的、同調的な消費者、即ち大衆はマイナーとなり、自律した自分なりの生活文化を持つ生活者が多数を占め、市場を主導するようになったのである。

・一億総中流の落日(立場に応じた顧客満足提供の時代へ)
 ここ数年、日本の所得分配の不平等が拡大し、「頑張れば望んだ地位につける」という戦後日本を支配してきた感覚の「一億総中流」の社会が崩れてきたとの問題提起をめぐっての争論が盛り上がってきている。
 人々の社会的地位の認識についての国の世論調査をみても中の中から上、下への移行が見られる。こうしてみると、いわゆる「中流社会」は次第に自壊に向かっていることとなり、大量消費を支えた大衆消費者が消え失せつつあると見られ、昨今の多様な消費行動からもそのことが実感させられる。そうした消費階層の変化や購買行動の変化する環境下にある小売業は、その業態に応じたわが店の顧客像をしっかりと捉え、それに相応しい店独自のコンセプトを確立し、顧客の社会的地位、経済力、購買動機等に的確な対応を図ることが肝要となっている。

・暮らしと地域への住民ニーズの目覚め(新たなる公共への華仕)
 商店街はもとより、その立地する地域社会を存立基盤とし、その繁栄は地域の健全な発展に依存するものであるから、その街ないし地域を人々の生活ダイナミズムに即した雰囲気と特色を持っていて、人々に愛され、支持されるものにすることが必要とされてきた。そうした努力により地域のコミュニティーライフの核として、地域をイメージさせる準公共施設の役割を果たすことで、商店街は「都市または地域の顔」という評価を得ていたものであり、それが公共的な地域社会貢献ともされていた。

・情報化にみる企業、消費者の変化
 パターン化された商品に飽きて「自分なりの一品」を求めるようになった顧客を固定客化するには、生産者と顧客のつながりを密に媒介者として顧客のニーズをフォローするリレーションシップを築きあげるしかない。
・パワフルな高齢者市場の出現(見逃せぬビジネスチャンス)
 車の運転免許も保有している最近の高齢者は、博報堂生活総研の言う「知恵持ち、金持ち、時間持ちの生活貴族」そのものであり、然も商店街に親しみを持ち、ゆっくりと好みの店を回り、店主は定員との会話を楽しみたいという人々でもある、正に商店街にとっては絶好のビジネスチャンス到来となる。

(4)これまでの手法、体験に囚われ、戸惑う商店街
 先に見てきた社会環境変化の5項目をキーワード風に表現すれば「量から質への転換、画一から多彩への移行」と纏められる。こうした変化に対し、商店街とその構成店がどう対応しているのかを検証するのがこの章の目的である。結論を先に言えば、時代潮流の変化への認識の誤り、不適切な対応、過去の経験への拘り等々残念ながら問題が多い。
 売り上げ拡大への意欲のみが強く、環境変化への認識も対応も乏しいと言える。

・大衆消費社会の消減
 顧客は消費者から生活者へと変貌し、自律した個々人となったのに、長年に亘って企業本位で売上シェアの拡大と効率の追求に疾走してきた慣行が染み着いた多くの小売店は、それだけに生活者の本質を正しく捉えられないばかりか、心底納得できないでいるようで、商店街の当事者と消費者間には数々の認識の違いがみられ、生活者ニーズに的確に対応して信頼関係を築き上げるのは容易でないように見受けられる。

・地域社会と共に
 有力な地縁団体である商店街としては、地域住民の生活ニーズに的確に捉え、質の高いサービス空間として、住民の多様なニーズに応えるのは地域コミュニティーの核として当然の役割であるものの、いまだ地域と幅広く連携して活動するケースは必ずしも多くない。地域住民の安全、安心な暮らしの手助けをし、人々がこの土地に住んで良かったと愛着を感ずるような街にすることで地域社会に貢献することは、自らの繁栄の第一歩となるもので、時代の変化とともに生きる商店街が一層「地域密着型」へと挑戦する課題としての「公共」そのものであり、一層の取り組みが必要となる。

・広がるネットワーク社会への対応
 個性化を強め、自分なりの一品を求める生活者ニーズに対応して、その暮らしの質の向上に貢献するのは難しいため、固定客を増やし、それを売り上げにつなげるため、ネットワーク社会に対応するシステム装備が必須となる。

・少子高齢化社会を迎えて
 既に20年前から出生数の減少で市場の縮小した離乳食市場なども付加価値を付けて逆に成長をみており、質的な対応を打てば(モノからコトへと)乗り切れると思われるので認識を改めて対策を練り、ビックチャンスを逃さぬ適切な対応を図る必要がある。

・商品づくりの工夫(低価格よりも暮らしの質の保証を)
 地域に即した顧客対応の店づくり、商品づくり、その店でしか出会えない個性と魅力に富む人づくりが商店街のミッションに相応しい戦略である。それにより地域にあった生活の質を高め、商品そのものの安全に心を配り、顧客に心休まる安定した生活を保証することである。

・生涯顧客づくりへの挑戦(人口減と顧客シェア確保の時代)
 従来のマーケティングは「顧客維持より新規客の獲得」に力点が置かれていたが、いまやヒューマンリレーション、人間関係づくりがマーケティングと言われている。地域に生きる商店街は一人一人の顧客の環境予見がどう変わろうとも真剣に明るく正しい対応を図り、生涯の固定客とするよう努力することが商売の基本である。

・小さくても強い店づくり(スモールイズビューティフル)
 価値逆転の時代である。「均一化より多様化」、「同調より異質化」、「質より量」、「企業より人」とその流れが変わってしまった。これは大規模組織で大量仕入れ、大量販売で先頭を走ってきた大型店よりも、それに押されて退潮を余儀なくされてきた、地域の顧客と向かい合い緻密な努力を積み重ねてきた中小商店が、むしろ有利なポジションを得るチャンスと言える。
 小さくても地域特性と「誰に売るか」を明確にして顧客満足を保証できる店が、効率優先の大型店より心のこもった店として、より時代に適していると言える。小さいことを恐れる必要は毛頭ない。それなりに心の行き届いた特色のある店をつくることである。それこそスモールイズビューティフルである。

・地域社会への貢献
 商店街は地域に埋め込まれた地場産業として単なる「買いものの場」を超えて、地域コミュニティーの核を始め多様な社会貢献に尽力してきたが、社会の変化に伴い社会貢献の焦点も変わってくる。
 個人や家庭だけの力では解決できない介護、教育、防犯、防災などに地域住民が力を合わせて取り組み、地域再生への努力が「新たなる公共」としてクローズアップされている。地域を基盤として組織された有力な地縁団体である商店街にも、地方公共団体から「新たな公共」問題への恊働が大きく期待されている。
 


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長々と長文に目を通してくださったみなさん
お疲れさまでございました。

ここからは普天間に目を向けて考えてみたいと思います。
普天間も全国各地で問題とされている商店街の衰退や
空き店舗があちこちに見られ、シャッター通り化が続いていることは
ご存知の方も多いかと思います。

しかし、地域に根ざして営業していらっしゃる店舗は
今でも健在です。代表していうならば「仲村商店」でしょうか。
仏壇にお供えするクワッチー(ごちそう)や、結納の時の品物が販売されており
お盆などの行事で供え方が分からないなどの時も相談できる為、
各地から「仲村商店」へ買い物に来ます。

また、美容室もびっくりするほど(?!)に多いです。
ゆんたくできる場所として、
憩いの場として機能しているのだと思います。

年配の方々がいる限り、普天間の昔からあるお店は
これからも健在でやっていけるのだろうと思います。
経済成長ばかりをみて、大型店を誘致して、パイの奪い合いでは
これからの少子高齢化社会では、もう時代遅れになってしまいます。
でも、沖縄ではまだまだそうした街づくりが目立ちます…

モノからコトへ時代が変化してきていることを自覚し
地域の文化を育てていき、心が豊かになる街に
普天間がなっていくといいな、と思います。










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Posted by エリカ様 at 18:24│Comments(2)その他
この記事へのコメント
22日の「地域活性化フォーラム」
私も参加します~♪

活性化の取り組みって
そこで働く方、住んでる方、行政などの
協力がとても必要で
難しいことだと思いますが
より良くなっていけたらいいですよね~(・∀・)
Posted by 三角食堂 at 2011年09月22日 00:59
三角さん!参加してくれてありがとうございました。
また、いろいろ話しましょうね!
Posted by エリカ様エリカ様 at 2011年09月26日 13:03
 
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